「東風吹かば匂い起こせよ梅の花、主なしとて春なわすれそ!」菅原道真が流刑の地大宰府に送られたときに詠んだ句といわれておりますが、春の訪れを告げる日本の代表的な花木である梅の剪定方法について庭木の剪定に関わってかれこれ7年、年間約100件の庭木の剪定をこなしてきた筆者が解説します。
梅の木の種類はどのくらいあるのか
早春に香りのよい花を咲かせ初夏に実る果実は梅干しなどに利用され、日本人にとって欠かすことのできないものとなっている梅ですが、現在花を観賞する梅は300種、実を取るための梅は100種あるといわれており、そのほかにも、垂れ梅など数多くの園芸品種があります。花も一重から八重咲きがあり色も豊富にあります。
梅の木を剪定する時期は、適期はいつか!
「今年は、実がほとんどつかなくて、なんででしょうと聞かれることがあります。」梅の実は6月につきますが、実の良しあしは花の時期の気候で大きく左右されます。
花の咲く時期に気候がいいと実が良くなると言われています。逆に花の時期に雪や雨などにあたると実は少なくなるようです。こればかりは、御天気様のご機嫌次第でしょうか。
梅の剪定時期としては、❶花後剪定(3月頃)❷秋季剪定(9~10月頃)❸冬季剪定(11月~1月)が考えられます。
❶花後剪定(3月頃)
花後の剪定は、長い枝が出ないような形にする場合、花の鑑賞を主とする場合に適しています。花の終わった直後3月頃に各枝とも付け根から3分の2くらい残して外芽の上で切り詰めます。残された芽は6月ころまでに中くらいの枝に伸びます。この場合、果実は、望めません。
❷秋季剪定(9~10月頃)
梅は、7月頃に新枝に花芽がついて8月いっぱいで花芽が決まります。(これを花芽分化期といいます。)あまり早い剪定は、花芽より葉芽に勢力が行くため花芽が付きにくくなる。
そのため剪定は9月~10月にかけて行うのがベストと考えられます。しかしながら、素人では、葉芽と花芽を見分けるのは難しいこともあるので、慣れないうちはつぼみがはっきりわかる正月以降が良いかもしれません。
❸冬季剪定(11月~1月)
冬季剪定は、花芽がたくさんあるので確認しながら剪定しましょう。長い枝は外芽の上まで切り戻し、翌年の花芽をつける短枝を出させる。込み合う部分は付け根から切りましょう。
梅の木の葉芽と花芽の見分け方
葉芽と花芽を見分けるには、葉をよく観察すること。花をつける枝の葉はくるっと巻いては先がさがっている。一方花芽のつかない葉は、ピンと伸びては先までまっすぐである。
芽自体の特徴は、葉芽は、とんがっていること。花芽は、丸くふくらみがあるのが特徴である。
梅の木の厄介者
梅には、毛虫やアブラムシの害虫がよくつきます。特に、アカッパラと呼ばれるお腹が赤いケムシは新芽が出始めると芽先を食い尽くし枝を枯らしてしまいます。これを放置すると今度は枝や幹がカイガラムシに狙われます。すると木がベトベトになって最後は木が枯れてしまうので普段からよく木を観察することが大切です。必ず害虫はつくものと考えて対策しましょう。
梅の木の剪定の5つのポイント(まとめ)
「桜切るバカ、梅切らぬバカ」とたとえられるように、梅はこまめに剪定して伸びすぎた徒長枝を取り除くのがポイントである。徒長枝は、内側から出ることが多く、そのままでは樹形を損ねて手の施しようがなくなります。徒長枝を切り落とすときは、根元からすっぱり切ってしまおう。
❶梅の花をたくさん咲かせるには、短い枝をたくさん出させることが肝要となる。
❷花をつけさせたい徒長枝(長く伸びた枝)は、元から取り除くと再び徒長枝が出て花芽をつけないので、ごく軽く切り詰め、短枝を出させ、花芽をつけさせる。
❸冬の剪定は、花芽の確認をしながら行う。
❹梅の実を取りたい場合は、枝を広げる樹形にする。
❺枝を切る時は、必ず外芽(外側に向っている芽)の上で切る。
以上が梅の木の剪定にあたってのポイントとなります。